きっかけは”明太子のり”(佃煮)でした。
生徒さんから頂いた”明太子のり”、もう残り少ないが、最近食ってなかったなぁと思い出し、今日の夜はお茶漬けで軽くサラサラっと行こうと思い立ったのでした。
で、コンビニでなんとなく買物をしている時に目に入ったのが、きゅうり、大根、人参のぬか漬け。
そういえば最近、漬物というものを食ってなかったなぁと、思い出し、買い足して、帰りました。
最近食ってないものを二種類に思い出したわけですな。
さて、私(わたくし)は飯を解凍致しました。
私(わたくし)は、飯を炊いたらすぐに小分けにして冷凍をしているのですが、其奴(そやつ)を解凍して喰らふと、実に良ひのでございます。
そふして、突然、誘惑に駆られたのでございます。
以前から思っていましたが、突然の誘惑にかられると、だいたい碌(ロク)な事にはなりませぬ。
一時(いっとき)の快楽のために目的を見失ってしまうのです。
その様な事が分かっていながら、そふして、今までに幾度もひどい目にあっていながら、私(わたくし)とは、なんと愚かな者なのでしょうか。
私(わたくし)は、眼の前のホカホカご飯に油断をしてしまったのでございます。
お茶漬けを彩る者たちとして、メインたる”明太子のり”、脇役としてキムチ、先程のぬか漬け、かつお梅を用意しておりました。
辛塩甘い、辛うまい、乳酸菌うまい、すっぱうまい、と正(まさ)に万全の体制と言えます。
当初は、これを茶漬けで次々と喰らふと夢想しておったのです。
飯を解凍する直前では、夢想が頂点に達しておりました。
道を踏み外そう筈は有りません。
ところが、ホカホカご飯をひと目見た途端、悪魔の囁きがいたしました。
その悪魔は、こう言いました。
ほれほれ、せっかくのホカホカご飯なのじゃから、茶をかけずに、まずはホカホカご飯+キムチから食ってみなされ、と。
私(わたくし)は深く考えもせず、まっ、後から茶をかけるんだからと、多少の言い訳をして、ホカホカご飯+キムチを食(しょく)してしまいました。
後から考えると、実に巧妙な悪魔の計略でありました。
私(わたくし)は、まず、主役を見失ってしまいました。
ホカホカご飯+キムチのあまりの美味しさに、主役である”明太子のり”の事が頭から吹っ飛んでしまいました。
悪魔はまず、私(わたくし)の理性を吹き飛ばしてしまったのです。
理性の無くなった私(わたくし)は、有ろう事か、次々と当初の理想を潰してしまいました。
悪魔は次々と私の欲望に火をつけていきました。
次は、ホカホカご飯+ぬか漬けでありました。
しかも、きゅうりを一切れ取り、実にゆっくりと味わいながら飯を掻き込みました。
ぬか漬けの偉大さに理性が痺れました。
次は、大根を一切れ取り、やはり、じっくりと味わった後、飯を掻き込みました。
次に人参が見えたのですが、これは2切れしか入っていません。
次回にとっておく事としました。
次にかつお梅に行ってまいりました。
当然、至福であったのですが、この至福の、すっぱうまいが次なる欲望を呼び覚ましました。
援軍に味付け海苔を呼んでしまったのです。
なんと罪深き事でしょう。
ですから、次は、ホカホカご飯+かつお梅+味付け海苔です。
定番ですから、不味いはずは有りません。
ここで、バリエーションを一通り回った感があります。
しかしながら、まだご飯は残っています。
ここで、私(わたくし)は、次なる援軍を呼んでしまいました。
“明太子ふりかけ”です。
私(わたくし)は、茶碗に残っている白米の量を計算いたしました。
欲望の為ならば、計算能力は復活するよふでした。
計算の結果、新たな援軍を活用すると飯の量が足りなくなってしまふのは必至だと思われました。
そこで再び、キムチに行ってしまいました。
もはや無限地獄です。(いや、その時は無限天国だったのですが)
結局、キムチとぬか漬けと梅干しと味付け海苔で、飯を一杯軽く喰らってしまひました。
ところで、私(わたくし)は皆さんご存知の通り、大変な大酒飲みなのですが、私(わたくし)といふ大酒飲みは、腹がいっぱいだと、酒が飲めぬのです。
そふして、私(わたくし)は、たくさん飯が食えぬ人間です。
だからこそ、今日はサラサラっと軽く終わろふと思っていたのです。(夜、たくさん飲もふと思い)
ところが、キムチと、ぬか漬けと、かつお梅と、味付け海苔で、軽く飯を一杯喰らってしまいました。
そふして、有ろふ事か、まだホカホカご飯を欲していたのです。
先の、突然の悪魔の誘惑といふものの恐ろしさに、私(わたくし)は戦慄を禁じえませんでした。
しかしながら、私(わたくし)は誘惑に抗ふ(あらがう)事は出来ませんでした。
私(わたくし)とはなんと愚かな者なのでしょう。
私(わたくし)なんの躊躇い(ためらい)もなく、2杯めのご飯をチンしていました。
さて、皆様のよふに理性のタガが外れない御仁(ごじん)達には理解できよふはずもありませんが、私は(わたくし)は大変に欲望に弱い人間であり、これまでに幾度も道を踏み外してまいりました。
ここで、過去を思い起こすことは控えさせていただきますが、やはり今日も道を踏み外してしまったのでございます。
2杯めは、まずはキムチを制覇いたしました。(残ったキムチを全て喰らひました)
そふしてご飯+ぬか漬けで、明日の分のぬか漬けを残しつつ喰らひました。
さて、まだご飯はまだ半分ほど残っています。
私(わたくし)非常な喜びを覚えました。
末期症状と言えましょう。
そふして、ついに、メインであるはずだった”明太子のり”にたどり着きました。
しかしながら、まだ悪魔の支配下にあった私(わたくし)は、ご飯に直(ちょく)で”明太子のり”をいただきました。
至福でございました。
さて、この至福の”明太子のり”が、私(わたくし)の理性を呼び覚ましました。
さうです(そうです)。
当初の予定であった、茶漬けを思ひ出させてくれたのです。
神仏は存在いたしました。
私(わたくし)を悪魔の誘惑から理性へと引き戻していただいたのです。
私(わたくし)はテーブルを俯瞰いたしました。
すると、寂しげに、ガラスの急須に入った、エメラルド色に輝く緑茶が見えました。
私(わたくし)は涙を禁じえませんでした。
“ずっと待っていてくれたんだ”
ご飯は、もう1/4程しか残っていませんでしたが、慈しみつつ、緑茶を茶碗に注ぎ入れました。
そうして、”明太子のり”をそっと入れ、食(しょく)したのでした。
悪魔の誘惑から理性への旅を終え、ものっそい(ものすごく)お腹いっぱいになってもうた (なったしまった);;
あかん(だめだ)。
それで今、腹がこなれて、酒が飲めるようになるまで、これを書いてるんやけど、
あ〜、ちょっと飲めるようになってきた。
これ書いて大分時間潰せたんやな〜。
ほんま(本当に)、一時の欲望に負けると、しばらく(これ書くのに4時間位かかってるかなぁ)酒が飲めんようになります。_| ̄|○
最後に、
私(わたくし)は、どうしていつもこう愚かなのでしょう。(どうでもええけど、なんで僕は、いつもこんなアホなんやろ)